ある寒い冬の日、私は木の下で凍えるある少年を見かけた。
その少年は地面に落ちたパンのかけらを拾い食べた。
様子を見ていると、少年はふと顔をあげ、私に気づいた。
服装はみすぼらしかったが、整った顔立ちしていた。「何見ているんだ?」
少年は睨むように言った。
「別に」
私がそう言うと、少年は再び地面を眺めた。
「俺の家、貧乏なんだ」
少年はぽつりと言った。
「…………」
「今日も食うもんなくてさ」
少年の声はかすれていた。
「だからって、他人のものを食べるなんて良くないわよ」
私は少し怒った口調で言った。
「だって仕方ないだろ! 腹が減って死にそうなんだよ!」
少年は声を荒げた。
「じゃあ、うちに来なさいよ」
私は言った。
「えっ?」
少年は驚いた様子だった。
「うちなら食べ物があるし、仕事もあるから」
「でも……いいのか? 俺はあんまり綺麗じゃないぞ」
少年は恥ずかしそうに言った。
「そんなこと気にしないわよ。ほら早く来て」
私は強引に少年の手を引き家に連れて行った。家に着き、私は早速料理を作り始めた。
「はい、どうぞ食べて」
私はテーブルの上にスープやサラダを置いた。
「ありがとう……」
少年はおずおずと口をつけた。
「美味い!!」
一口食べるなり、少年は大きな声で叫んだ。「良かった。たくさんあるからどんどん食べてね」
「ああ、こんなうまい飯は初めてだよ!」
少年は無我夢中で食事を続けた。
「ふう、食った食った」
しばらくして、少年のお腹がいっぱいになったところで、私は尋ねた。
「それであなた名前は?」
「俺は蓮っていうんだ。あんたの名前は?」
「私は結衣よ。よろしくね」
こうして私と少年の生活が始まった。
少年を拾った私
2023年2月10日
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