「ねぇ、みのりちゃん、編集長ってどう思う?」
「え、生田部長? 仕事ができるし、厳しくも優しいし、尊敬してるけど……なんか急に聞かれても……」
「そう? 私は生田さんとみのりちゃん、お似合いだと思うんだけどなぁ」
「はあ? な、なんでそんなこと言うのよ……」
あこは私の顔をのぞきこむようにして言った。私は彼女の視線をそらしながら、なんとか返事をした。
「違うってば! そんなことないってば!」
私は必死に否定するが、あこはわざとらしくうなずきながら言った。
「ああ、そう、そう、生田さんはもうみのりちゃんの虜なんだろうねぇ」
「いやいやいやいやいや、そういうことじゃなくって……」
あこは私をよそに、ノートパソコンに向かって小さくタイピングを始めた。どうやら彼女は私のことを放っておいて、仕事をするつもりらしい。
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