私は先輩に嫌われている⑬

千羽は、私が大好きな小説家の新作を手土産に持ってきてくれた。

「おお、待ってました！ありがとう千羽さん！」

嬉しさを抑えきれない私に、千羽はにやりと笑った。

「俺が用意してやったんだから、期待していいぞ」

私は恩義を感じながら、彼を見つめた。そこには、いつもと違う優しさがあった。

「それにしても、みのりさん、夏目漱石って何が好きなんですか？」

思わず聞き返してしまうほど、突然の質問に驚いた。

「ああ、ええと、夏目漱石は……」

どう答えたものか迷っていた私に、千羽はこう言った。

「じゃあ、一緒に読みませんか？」

驚きを隠しきれない私に、彼はにやりと笑いながら言った。

「えっ、それって……」

彼が私を誘っているのだとしたら、それは夢のような話だった。

「別に編集者としての意見とかじゃなくて、ただの読書会としてさ」

彼の言葉に、私はほっとした。

「じゃあ、お願いします！」

そして、私たちは二人で、夏目漱石の作品を読み進めていった。

その後も、私たちは何度か読書会を開いた。彼のおかげで、私は夏目漱石をもっと好きになったし、彼の人柄も知ることができた。

私たちの関係は、少しずつ変わっていった。

彼が私を優しく見守ってくれるようになり、私も彼に心を許せるようになっていった。

そして、ある日、私たちは出張先で出会った。

私たちは、同じホテルに泊まっていたのだ。

「偶然だな」

彼はにやりと笑いながら言った。

「そうですね……」

私たちは、部屋で一緒に食事をすることになった。

とても緊張していた私に、彼は優しく話しかけてくれた。

「みのりさん、あなたは本当に素晴らしい人だよ。僕は、あなたをずっと応援しているし、これからもそばにいるから」

彼の言葉に、私は胸がいっぱいになった。