私は千羽先輩が去ったあと、ひとり深くため息をついた。
こんな間違った誤解が生まれるなんて、あんな男に絶対興味があるわけじゃないのに……。
しかも私、彼に嫌われたくない一心で、ずっと懸命に働いてきたのに、こんな風に誤解されてしまうとは……。 なんとか彼に誤解を解いてもらう方法はないだろうか。 そんなことを考えながら、私は校正を続けた。
その後、私はいつものように編集部に出勤し、日々の仕事に追われる毎日を送っていた。
ある日、私は生田部長から呼び出された。
「みのり、話があるんだ。こっちに来てくれないか」
私は生田部長のオフィスに向かい、彼の机に向かい合った。
「なにか用でしょうか?」
「いや、話があってね。最近、千羽とよく一緒に仕事をしているって聞いたんだが」
「あ、はい。私、千羽さんのアシスタントをしているんです」
「そうか、じゃあこれを渡しておいてくれ。千羽からの仕事だ。間違っても紛失しないようにね」
生田部長は私に封筒を手渡した。封筒の表面には「千羽からの仕事」と書かれている。
「あ、ありがとうございます。大切に扱います」
私は素直に礼を言って、生田部長のオフィスを後にした。
ところが、封筒を開けてみると……その中身は、何と千羽先輩が書いた官能小説だった!
「どうしてこんなことに……」
私は封筒を握りしめ、彼の机に向かって叫びたくなる気持ちを抑えるために、深呼吸をした。
何かが起こる前触れのような、なんともうずくような感覚が私を包み込む。
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