私は先輩に嫌われている⑮

「いいんですか?」と私は彼に聞いた。

「ああ、まあ、そんなに大したことじゃないよ」

「でも、私って仕事ばかりで、遊びに行く友達もいないし、好きな作家とか好きな本の話とか誰ともできないし、私ってつまんない人間だと思われているかもしれない」

彼は微笑みながら私を見つめた。

「だって、そんなに心配しなくてもいいじゃないか。君が好きな作家や本の話は、俺たちが聞いてあげるよ。君がつまらない人間だなんて、誰がそんなことを言ったんだ? 俺は、君が好きだよ」

私は彼の言葉に、心が暖かくなっていくのを感じた。

彼は私の手を握って、さらに言った。

「君は、すごく素晴らしい人間だと思うよ。俺たちの部署で、君がいなかったら、俺たちはこんなに充実した日々を送ることはできない。君がいるから、俺たちはもっともっと頑張れるんだ」

私は、彼の言葉に涙がこみ上げるのを抑えきれなかった。

こんなに優しく言われたのは、初めてかもしれない。

彼は私に微笑んで、続けた。

「君のことを考えると、自分のことよりも、君のことを幸せにしたいって思うんだ。だから、君が望むなら、俺は君のことをずっと守っていくよ」

私は、彼の言葉に、思わず抱きしめたくなった。

こんなに大切に思ってくれている人がいるのだと、心の底から実感した。

私たちは、部署を出て、一緒に外に出た。

彼は私の手を握りしめて、囁いた。

「今日は、君が好きなカフェに行こうか」

私は、彼の優しさに、思わず涙がこぼれた。

彼が私にとって、一番の宝物だと、心の底から思った。

私たちは、手をつないで、カフェに向かって歩いていった。

(完)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

早寝早起き朝うどん

コメント

コメントする

目次