「いいんですか?」と私は彼に聞いた。
「ああ、まあ、そんなに大したことじゃないよ」
「でも、私って仕事ばかりで、遊びに行く友達もいないし、好きな作家とか好きな本の話とか誰ともできないし、私ってつまんない人間だと思われているかもしれない」
彼は微笑みながら私を見つめた。
「だって、そんなに心配しなくてもいいじゃないか。君が好きな作家や本の話は、俺たちが聞いてあげるよ。君がつまらない人間だなんて、誰がそんなことを言ったんだ? 俺は、君が好きだよ」
私は彼の言葉に、心が暖かくなっていくのを感じた。
彼は私の手を握って、さらに言った。
「君は、すごく素晴らしい人間だと思うよ。俺たちの部署で、君がいなかったら、俺たちはこんなに充実した日々を送ることはできない。君がいるから、俺たちはもっともっと頑張れるんだ」
私は、彼の言葉に涙がこみ上げるのを抑えきれなかった。
こんなに優しく言われたのは、初めてかもしれない。
彼は私に微笑んで、続けた。
「君のことを考えると、自分のことよりも、君のことを幸せにしたいって思うんだ。だから、君が望むなら、俺は君のことをずっと守っていくよ」
私は、彼の言葉に、思わず抱きしめたくなった。
こんなに大切に思ってくれている人がいるのだと、心の底から実感した。
私たちは、部署を出て、一緒に外に出た。
彼は私の手を握りしめて、囁いた。
「今日は、君が好きなカフェに行こうか」
私は、彼の優しさに、思わず涙がこぼれた。
彼が私にとって、一番の宝物だと、心の底から思った。
私たちは、手をつないで、カフェに向かって歩いていった。
(完)
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