とにかく私は今、生田部長と食事をすることになっているのだ。
「みのりさん、お疲れ様です。休日出勤だったんですよね?」
「はい、そうなんです。でも締め切りまであと少しで、なんとか間に合わせたいと思って」
「そうですか。それなら早く終わって良かったですね」
生田部長はいつもの優しい笑顔でそう言う。
私は彼が見守っていると思うと、なんとか乗り切れそうだと感じた。
「では、さっそくお店に入りましょうか」
私たちは隣りのイタリアンレストランに入った。
注文したのは、私が大好きなトマトクリームパスタと生田部長がおすすめする赤ワイン。
食事をしながら、私は彼といろいろ話した。
文学の話や、私たちの編集部の今後の方針について。
彼はいつも真剣に話を聞いてくれるし、適度にアドバイスをくれる。
その姿勢にいつも敬意を持っていたし、彼が私たちの上司であることを誇りに思っていた。
食事が終わって帰ろうとすると、生田部長が私の手を取った。
「ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
彼は私の手を離さずに、緊張した様子で口を開いた。
「みのりさん、いいですか?私、あなたのことが好きなんです」
彼の瞳には真剣なまなざしが宿っていた。
私は一瞬の間をおいて、生田部長に向けて微笑んだ。
「私も、生田部長のことが好きです」
彼と私は、そのまま手をつないでレストランを出た。
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