私は先輩に嫌われている⑨

「はい、細川さん、お疲れ様でした」とあこが言った。
「お疲れ様でした。明日からもがんばりましょう」と私は笑って言った。

編集部に残るあこに見送られ、私は帰路についた。暗い夜道を歩きながら、ふと先輩とのやりとりを思い出した。

「あの人、どうしてあんなことを言ったんだろう」

どこか心配している自分がいた。でも同時に、先輩の言葉に胸がドキドキと高鳴っていることに気づいた。何故だろう、今まで全く意識したことがなかったはずなのに。

家に着くと、すぐにシャワーを浴び、寝床に入った。明日も早いのになぜか目が冴えてしまって、布団の中でウダウダと考え込んでしまった。

「でもまあ、あの人もたまには面白いことを言うから……。うん、そうに違いないわ」

自分に言い聞かせるように、私は微笑みながら眠りについた。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

早寝早起き朝うどん

コメント

コメントする

目次