「えっ、そういうこと?」
「そうそう。私と君の恋愛が取材対象になるってことさ」
みのりは驚いていたが、一方の生田はのんびりとしていた。彼はいつものように、余裕のある態度で話を進めていた。
「そういうわけで、ここからはオフレコで話を進めることになる。記事が出たら君たちは取材料提供者になるわけだから、それは覚悟しておいてくれ」
生田が言うと、みのりは深く頷いた。彼女はこの話を聞いて、少し怖くなった。恋愛というものは、ときに危険な道へと導くことがある。それでも、みのりはこのチャンスを掴むことを決めた。
「よろしくお願いします。私たち、協力します」
みのりは真剣な顔で言った。生田は彼女を見つめ、小さく微笑んだ。
「君は本当に素晴らしい編集者だね。そして、素晴らしい女性だ」
生田の言葉に、みのりは赤面してしまった。生田はいつも冷静沈着で、決して過剰な表現を使わない男だった。それだけに、彼の言葉が嬉しかった。
「そんなこと、言わなくても……」
みのりは言葉を詰まらせた。それでも、彼女は頑張って笑おうとした。
「そうだ、今日はお前がおごってくれるんだったな。どこに行くか決めたか?」
「あ、うん。それが……」
みのりは慌ててカバンからスマートフォンを取り出した。すると、生田がにやりと笑った。
「私に任せておけばいいよ。絶対に面白いところに連れてってやるから」
そう言って、生田はみのりに向き直った。彼の顔には、さっきよりも一層、優しさが宿っていた。
みのりは彼を見つめ、優しい気持ちで胸がいっぱいになった。
「ありがとう、生田さん。私、楽しみにしてます」
「俺もだよ。一緒にいると、いつもいい気分になれるからね」
生田は再び微笑んだ。
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